アマチュア無線の電波利用料

執筆:田吹

かつての日本は、アマチュア無線を通して日本の科学技術に貢献する人材が多く育っていたと思う。 筆者も子供の頃、周辺でアマチュア無線をやっている人が結構いて影響を大いに受けている。電子工作に興味を持ち海外との交信で語学にも興味を持った。アマチュア無線の従事者免許は一番上まで取得した。(ちなみにプロの免許も持っている)

 

アマチュア無線の勉強を通して得られた「考える力」や「やってみる力」などや、交信で触れた外国語への興味などというのは、現在運営している、翻訳会社などの会社の原点と言ってもいいだろう。

そうして、一時期は熱を入れていたアマチュア無線だけど、1993年に「電波利用料」(一種の税金)が徴収されるようになると急速にアマチュア無線に対する情熱が失せてスパっとやめた。コンピュータ・プログラミングが面白くなったというのもあるけど、アマチュア無線に対する役人の考えがイヤになったからというのが大きな理由だ。役人はアマチュア無線の意義を理解しておらず、商用無線と同じように単なる便利なツールぐらいにしか考えていないのだろうと感じた。

電波利用料に納得いかないだけではない。 ただでさえ人生をシンプルにしたいのに電波利用料の支払いという余計な義務が増えるのもイヤだ。 気分がブルーになる。それに最近は自作の無線機での運用が難しくなってきているとも聞く。 高価な出来合いの無線機を買えと言わんばかりだ。

そんなだから、日本のアマチュア無線人口は激減し科学技術力がダダ下がるわけだ。アメリカではアマチュア無線局の電波利用料(に相当するようなもの)は除外されている。だからと単純に言う訳でもないが、このインターネットのご時世なのにアマチュア無線人口は増えているらしい。

僕が若い頃、日本は科学立国だと思っていた。 エンジニアになれば明るい未来が待っていると思っていた。 だけど、実際は違っていた。 日本という国は本当に科学技術を大切にしない国だとつくづく思う。

ではこの辺で。

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