戸籍謄本の翻訳料金の値下を検討中

戸籍謄本の翻訳料金を更に下げるべきか

執筆:神田

現在、グループ内で戸籍謄本の翻訳料金を更に値下げすべきか検討中である。 横書きの戸籍謄本の翻訳(英訳)なら翻訳証明書もついて、消費税込み 2,700円という、ただでさえクレージーに低料金なのだけれども、それでもライバル会社と戦うためにはまだ高いという厳しい事業環境なのですよ。

過去の値上による失敗から学びました

2016年頃、テレビやラジオなどのメディアで「商品やサービスの価値を低く見積もるのは誤り。 値上げをしない経営はダメな経営」 みたいな事を言う輩の声が大きくなっていた。 確かに、商品やサービスを提供する我々のような立場の人間からすると利益率が低い状態で安売りしていては次の時代を切り開く研究開発に回す予算も捻出できないし、スタッフも疲弊し良い人材も集まらない。 一理ある。 というわけで、我々としても戸籍謄本の翻訳料金を値上げしようということになった。 そして、当時 消費税込み3,150円だった戸籍謄本(※)の翻訳料金を4,320円に値上げしたのである。

※ ここで言う戸籍謄本は横書きのもので、正式な書類名称を「全部事項証明書」という書類を指している。

当時、我々の戸籍謄本翻訳サービスは、その品質と低価格により ほぼ市場を独占していたので、この程度の値上げだったらお客さんはついて来てくれるだろうと考えていた。 そして、確かに一時的には利益が増加した。 だがしかしである。 それからしばらくして注文数が減っていった。 理由は低価格で戸籍謄本の翻訳サービスを提供する新規参入の翻訳会社の登場である。

今までは我々の翻訳料金が低かったので新規に参入しても顧客を獲得するのは難しかったけど、我々の翻訳料金が上がったことで新規に参入しても顧客が獲得できる余地が生じたと言う事だろう。 後述するように後で分かったことだが、値上げをそそのかした連中というのはインフレ方向に誘導したい政府の息がかかった連中であって、そういう連中というのは現実を無視して政府に都合が良い話ばっかりする。 そんな連中の話に唆された我々も我々なのだ。

そこでどうするか? その時点で下した結論は「何もしない」だった。 というのも、前から安いことを売りにするライバル会社があって正直ウザかったからだ。 安い翻訳料金を最大の武器にする新規参入の翻訳会社は、前からあった安いことを売りにするライバル会社の最大の脅威になる。 それら2社が低価格戦争をしてお互いに消耗してくれれば、我々にとっては願ったりかなったり。 なにせ、戸籍謄本の翻訳を低料金で提供するのは結構大変なことなので、まあ数年も低価格戦争を行えばそれら2社はガリガリにやせ細るハズ。 そこに我々が再び参入して爆弾を投下すれば、それら2社とも一斉に一掃できると考えたわけだ。

もっとも、我々は登記簿謄本の翻訳が結構忙しかったという別の事情もある。 登記簿謄本の翻訳というのは、戸籍謄本の翻訳のように定型化できる部分も多いけど、各社ごとに事業目的が違うため定型化できない翻訳部分もある。 しかも、必ず個別に対応が必要となるので戸籍謄本の翻訳に比べれば面倒だし、ビジネスに使うものだから翻訳精度も高くなければならない。時間がかかる仕事なのだ。 更に言えば登記簿謄本翻訳の公証も同時に取り付けるサービスを行っているため、翻訳以外の作業も発生して正直仕事をするのが嫌になるほど忙しい。 登記簿謄本の翻訳以外にも面倒な翻訳の依頼は多い。 なので、戸籍謄本の翻訳のようなローエンドのサービスに頼る必要は無い。(とは言っても、戸籍謄本の翻訳は機械化という武器を持っているなど他社に負けないポテンシャルを持っており大事な分野であるという認識は持っている) とにかく、しばらくは登記簿謄本の翻訳など、戸籍謄本の翻訳以外の翻訳に注力しようということになった。

安いことは良いことだ

そんな中、2017年4月に大手スーパーであるイオンの岡田社長が 「脱デフレは大いなるイリュージョン」 と発言して値下げに踏切り、半期後には最高益を更新したということがあった。 ふーむ、そっか、値下げというのは、2016年頃の値上げムーブメントってのは政府の仕掛たトラップだったのね…ってやっと気がついた。それから我々も今度は値下げ方向に舵を切ることになる。 程なくして現在の 2,700円に大幅値下げすることとなった。 安い翻訳料金を武器に参入してきた翻訳会社に対抗して設定すると、そうならざるを得なかった。

そんなこんなで我々も消耗戦に参戦せざるを得ない状況になってしまった訳だけど、ま、奪われ続けていた顧客も一定レベルで確保できるようになったし、お客様も喜んでいただけるので、やはり、これが正解なのだと思う。

価格競争に勝利するために

安い翻訳料金を武器に参入してきた翻訳会社などのライバル会社は、まだ、しぶとく生き残っている。敵ながらアッパレだ。 でもね、もうそろそろ決着をつけなければならないと思うんですよ。 どうせだったらライバルも吹っ飛ぶ爆安価格にして かつての受注量レベルまで復活させなきゃね。目指すはイチキュッパかな? それともジャスト2,000円かな?

まあ、乞うご期待ってことで。。。